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建物(いえ)を大切にする心
先日、耐震診断にうかがった際のお話です。そのお宅は玄関からこざっぱりとしており、清掃も行き届いているような印象を受けました。やはり建物を大切にされているお宅の方が、こちらもやりがいが出てくるものです。
下屋(2階建で1階しかなく、屋根になっている部分)の天井裏で面白いものを発見しました。納戸になっていたのですが、その天井部分に金物で仕掛けがしてあり、網戸が並べられていました。
私は一瞬とまどいを覚え、「これはどうされたのですか?」と間の抜けた質問をしてしまったのですが、「冬の間は、網戸はきれいに洗ってここにしまっておくようにしています」と丁寧に教えていただきました。私は非常に感銘を受けました。
確かに、あまり使わない冬の間、網戸をしまっておくと長持ちするでしょう。しかし網戸の値段やその手間を考えると、なかなか出来ることではありません。値段の問題ではなく、その建物(いえ)を大切にする心にうたれました。物のあまった現代の風潮では、笑う人もいるかもしれませんが、私には尊いことに思えました。
私は、「質実剛健」とか「質素倹約」とかいう言葉が好きです。義理の父にもよく言われますが、古い人間です。このような言葉が死語にならない世の中であってほしいものです。