ここから本文です。
私もわかりませんでした
前回の日記で、「なぜ、こんなにも騙される人が多いのか?」といった疑問を書いておりましたが、実は私も同類でした。
新聞報道で、「サムニングループ」や「エム・エイチ・エス インターナショナル(以下 MHS)」といった社名を聞いて、はてどこかで聞いたような、とは思っていましたが、実はきれいに忘れていただけで、当社にも接触がありました。
「サムニンJAPAN」の施工管理課長及び「MHS」の工事管理室室長の肩書きを持つAという男が当社にやってきたのは、4年前の夏でした。事前に電話でアポイントをとるなど、営業マン嫌いの私にも不快さを感じさせないさわやかな訪問でした。40半ばのいかにも真面目に世渡りをしてきました、と顔に書いてあるような実直そうな男で、私はすぐに好感を持ちました。
用件は、「当社は営業会社なので、工事を下請けでやって欲しい」とのことでした。話す内容も理路整然としており、「この人の仕事ならしてもいいかな」と思いました。
しかし、結局は縁がありませんでした。なぜかはわかりませんが、先方は「いい人に会えてよかった」と言いながら、二度と連絡をしてきませんでした。何かあったのかな、などと好意的には受け止めていたのですが、こちらも下請けにはそれほど執着もなく、それっきりの関係で終わりました。
その男は、どうやら社長の右腕のような男らしい、と話の節々で想像がつきました。わたしには、あの夏の日に膝を突き合わせて話した男が、こんなに卑劣でつまらない仕事をするとは信じられない思いです。彼は知らなかったのではないか、などと甘いことを考えたくもなるのですが、でもそれはあり得ないでしょう。社長の右腕であれば。
「人間とは、かくも難しいものか」ともうすぐ不惑の私も戸惑うばかりなのです。
PS 当時は、私も不勉強でよくわからなかったのですが、その時「中心だ」と言っていた屋根裏や床下の金物補強は、真面目な業者なら絶対にやらない工事です。現在の私なら、その男とどのような会話をしたのだろうか。