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そこはどんな会社なのか
私は現在、とても心地の良いお客様にお世話になっている。もっとも私には、そのようなお客様は多いので珍しいことではないのだが、今回はあえて特筆したいほど気分の良い仕事をさせていただいている。
ところがこの仕事は訳ありで、他社がやりかけたリフォームを中断させて、途中から当社が引き継いだという難しい要素を持っている。あまりに仕事ぶりがいい加減なので怒ってやめさせたという。
左官の下塗りなどもでたらめで、上塗りをしない状態で放置してあったが、うちの左官職人に「上塗りだけやってくれ」と指示を出すと、「この下塗りは悪すぎるから、下塗りからやり直しますわ」といった調子。
他にもどうにも納まりの悪いところがあり、仕事の悪さもさることながら、あんなに「良いお客様」を怒らせるというのは、どんなにいい加減な会社かと、どうしても不思議になる。
常に微笑で接してくださり、段取りについての制約も無く、金額的にも無理をおっしゃらず、「何よりも信頼してまかせます」といった態度に男気を感じる。この人を怒らせる会社というのは、一体どんな会社なのだろうか。しかし、おかげで(というのも変だが)とても良い出会いになった。精一杯努力して、ぜひとも信頼を裏切らないようにしたい。
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こんにちは、吉信秀樹です。
このお客様は見積提出のときに、契約書でしばろうとしない私のことを、「俺と一緒や」と言ってくださいました。「私は古い人間なんです」というと、ただ、うんうんとうなづいていらっしゃいました。「士は己を知る者のために死す」と言いますが、こんな時に私は全力投球を誓います。
では、またお会いしましょう!