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業界ウラ話 - 信用とは何か
先日、あるインテリアコーディネーターさんとお話をしていた。彼女は私より少し歳下で、子どもの歳も近い。なかなかの努力家で、育児のかたわら二級建築士の資格も取得されている。
これまで色々な会社で職歴があり、興味深い話をいくつか聞くことができたので書いてみたい。
彼女のキャリアは大手ハウスメーカーでスタートする。インテリアコーディネーターの資格を生かし、お客様との打ち合わせやプレゼン作成、図面作成、仕様変更後の見積書を作成したりしたという。約5年間、その仕事をされた。
やりがいが全く無かったそうである。驚いて理由をたずねた。
「ええ~っ、また何で?」
「打ち合わせしてても、すぐに『何でもいいわ』ってなるんです」
「自分の住む家の打ち合わせやろう?」
「ええ、でも○○の名前で家が建ったら、あとは何でもいいみたいなんです。○○やったら安心っていう感じです」
「考えられへんな」
「でも、そんな風に家に関心の無い人が多かったです」
みなさんは、どのような印象を持たれただろうか?ハウスメーカーなんて決して安くは無いのに、家自体はどうでも良く、メーカーの名前のみが重要であったお客様が多かったという。10年ほど前の話なので、現在では、多少雰囲気も変わっているとは思うが。
しかし、それが事実であれば、確かにやりがいは持ちにくいだろう。仕事なんて、お金だけでは出来ん。
その後、さるリフォーム会社にお勤めになった。この会社は、私もチラシでよく見ているので名前だけは知っていた。ここも奈良では著名な会社がバックについていて、リフォーム会社自体は小さいがネームバリューがあったという。
この会社では、見積書を作っていたが、彼女は現場に行ったことがない。担当の営業マンが現場を見て、下請けの業者から見積もりがあがる。それに一定比率で金額をのせて、見積書の形式を整えるのが彼女の仕事だった。
その見積もりは、営業マンが持って行くが、当然ながら工事のことはチンプンカンプンだし、安くしてあげたいとか、良くしてあげたいとか、何の工夫も思い入れも無い。
「ようそんなんで、仕事が取れるなあ!?」
「やっぱり○○の名前で安心らしいんです」
「理屈はハウスメーカーと一緒か?」
「そうですね。内幕を見ててリフォーム業が信じられなくなりました」
「少なくとも、うちはそんなアホな仕事してへんで」
当たり前のことだが、私は名前で仕事を取ったことが無い。大吉建設は、吹けば飛ぶような小さな会社だ。しかし、さきの二社様よりずっと血の通った、しかもいい仕事をしていると言い切ることが出来る。
名前も結構、私は否定しない。人様の価値観をどうこう言うつもりも無い。立派なパンフレットもまた結構、夢も広がるし安心感もあるだろう。
私は、私と会って、社員と会って、家のことについて話しあって、共感してくださった方と仕事がしたい。名前では無く、私や社員を信じてくれた人のために、誠意を尽くして仕事がしたい。
士は己を知る者のために死す、という。私は社員を信じてくれたお客様のために誠をつくす。
ただ、それが言いたかった。
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こんにちは、吉信秀樹です。
先週の土曜日は、次女の幼稚園の運動会に行ってきました。何でもお弁当を作るのが面倒らしく、お昼までの開催です。味気の無い世の中になりましたね。子どもの成長を見ながら一杯、などというのどかな時間は昔のことになりました。
では、またお会いしましょう!