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2021.04.26
リフォームか、建て替えか
大規模なリフォームをするのか、それともいっそ建て替えたほうがいいのかという葛藤を持っていらっしゃる方はとても多いかと思います。今日はリフォームか建て替えかの判断の考え方についてお話をします。
お金だけ考えると普通はリフォームの方が安い
まずお金の話から始めたいのですが、普通はリフォームの方が安くすみます。普通はと申し上げたのは、いわゆるスケルトンリフォーム、内装などを全てとりはらってしまって、骨組みだけにして一からやりかえるようなリフォームになると新築の方がかえって安くなります。
それは解体ひとつをとっても建て替えなら重機でガシャンとつぶすことができるものを、リフォームであれば残したところを使えるように丁寧に手作業でつぶさないといけません。それでいて住宅設備や内装外装のボリュームは変わりませんし、その施工もリフォームの方が手間がかかります。柱や梁のお金をうかしたぐらいでは取り返せません。
それでもそのようなスケルトンリフォームをされるケースがあるのは、建物そのものに思い入れがあって残したいとか、その家を建築した当時とは法規が変わっていて、建て替えようとすると家を小さくせざるをえない場合に、それを嫌ってリフォームされるのです。
お金をのぞくと全てにおいて建て替えの方がすぐれている
ある意味当たり前ですが、お金以外では全て建て替えの方がすぐれています。プランも制約なしに自由に考えられますし、老朽度もクリアになり、耐震や断熱、シックハウスなども建て替えの方が容易に性能を高くできます。
それでもリフォームか建て替えかで迷われるのは「もしリフォームですむのなら、それでそこそこ満足できるのなら、そのほうがありがたい」という気持ちがあるからです。当然の心理だと思います。
リフォームないし建て替えを考え始めた理由と建物の状態で考える
リノベーションのような大掛かりなリフォームをするかまたは建て替えをしようかと考え始めた理由があるはずです。例えば、耐震が心配だとか、冬が寒すぎるとか、老朽化がすすんで傷んでいるところが目に付くとか、理由はたいていの場合一つではないかと思いますが、その理由と建物の状態によってリフォームでも問題ないか建て替えないといけないかという判断ができます。
構造の老朽度や傾き、蟻害が心配な方
内装や外装の傷みというのは簡単にやり替えられますが、柱や梁など構造の老朽化や傾き、またはシロアリの被害などが目だつ場合は建て替えのほうが望ましいです。リフォームでは構造の劣化をやりかえるのはなかなか大変です。家の傾きも直せないことはありませんが、大がかりで高額な工事になり、そこまでするのなら金額的に建て替えが視野に入ってきます。
間取りを大きく変更したい場合
いまの間取りを大幅に変更したい場合、これもやはり建て替えが有利です。リフォームでもたいていの変更はできますが、やはり現在の形から抜けない柱があるなど一定の制約がありますし、大きく変えようとすればするほどコストが上がります。
いやいやそんなに大きな変更でなくて、LDKと隣の和室をつなげるぐらいでいいだとか、お風呂と洗面を広げるだけでいいだとか、その程度の間取り変更であればリフォームでも全く問題はないかと思います。
耐震が心配な場合
これはもちろん元の建物の形や状態にもよりますが、リフォームでも概ね問題はありません。概ねと申しますのは、新築で言いますと耐震等級1程度に持ってくることは充分に可能だということです。いや、1では足りない、耐震等級2か3は欲しいという話になってくると、これもスケルトンリフォームでないと対応できないかと思います。特に耐震等級3はリフォームではほとんど不可能といっていいでしょう。
ちなみに一般的にリフォームで耐震補強をする場合、耐震等級1にできたらそれは上出来ではないかと思います。自治体によってルールが変わりますが、耐震等級1に届かない程度の耐震補強でも耐震補強の補助金が出るからです。繰り返しますが、もちろん元の建物の形と状態によります。
断熱性能を高めたい場合
「今の自宅は寒すぎる!」と断熱性を高めたい場合は、これは圧倒的に建て替えの方が有利です。リフォームで断熱改修をしようとすると、普通は耐震補強よりもずいぶん高額になります。特に窓のやり替えは重要なポイントになるのですが、普通に窓をやりかえると外壁の補修なども入ってどんどん工事がおおがかりになり高額になっていきます。簡単に窓の性能をあげようとすると内窓をつけてペアガラスにする方法が比較的安価でいいとは思いますが、窓が二重になる、開け閉めを二回しないといけないというのを嫌う方もいらっしゃいます。
もちろんリフォームでもできますが、断熱性能を高めたい場合は建て替えに軍配をあげます。
シックハウスが気になる場合
ご家族の中でアレルギーをお持ちであったり、化学物質や電磁波に敏感な方がいらっしゃる場合、建て替えに越したことはありませんが、これはリフォームでも充分に対応できます。費用も建て替えと比較して大きくは変わりません。ただし、土地をイヤシロチにする、簡単に言うと土地から抗酸化空間にしようと思うとリフォームでは対応が困難な場合もあります。
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