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住宅会社の選び方
家づくりは投資であってリターンが大切です。つまり、みなさんの望むリターンをご家族で相談して決めた上で、それが達成できる会社というのが最低条件になります。これは、資料請求をして送っていただいた資料でだいたい判断できるかと思います。
最低条件を満たした会社を何社か訪問してから決めることになると思いますが、私はいつも「その会社が好きになれるか、信頼できるか、営業担当者とおしゃべりして疲れないか、そんなことで選ぶのが間違いないですよ」と申し上げます。なぜ好きになれることが重要なのか、簡単に説明します。
打ち合わせがしっかりできるから
注文住宅の打ち合わせは、結構ハードです。プランをつめる時は、毎週のように2~3時間も話したりします。もし、それが工法や金額で選んだ会社であって会社の空気も何となく合わない、担当者ともあまり気が合いそうにないとなると、それは苦痛な時間になる可能性があります。
また、本当ならもう少し突っ込んで話したいところでも、疲れてきて「まあ、いいか」となってしまうことも出てきます。注文住宅の基本は打ち合わせですから、そうなってくると、本当に満足のいくプランにはなりにくくなります。基本は、何時間滞在しても疲れないところ、何時間話していても楽しい人です。
もし、「会社は気に入ってるんだけど、担当者がもう一つ・・・」ということがあれば、勇気を持って担当者の変更を申し出るのも悪くないと思います。気が引けたり遠慮する気持ちもよくわかりますが、良心的な会社なら前向きに対処してくれると思いますし、もし、それぐらいで不協和音が出るのなら、そもそも家づくりのパートナーにはふさわしくないのかもしれません。
信じることが大切だから
住宅建築において、工法や建材などは、数え切れないほど存在します。それぞれの会社がそれぞれの経験と考え方をもって、何かを選択しているわけです。でも、どれが一番いいのかなんて、住まい手様の希望もありますが、一概に言えることではありません。全てが正解と言ってもいいと思うのですが、最後は価値観の問題だと思います。
家づくりがスタートしますと、身内や知人など、ご丁寧に(笑)色々なアドバイスをしてくれることがあります。「○○は××のほうがずっといいらしいよ」「△△メーカーの□□はやめたほうがいいって聞いてるで」などです。こういったことを聞かされるたびに、担当者に確認しないと気がすまない方もいらっしゃるのですが、これは問題が多いと思います。
まず、自分自身がその不安な気持ちのために幸せな家づくりでなくなってしまいます。そして、一度や二度ならそのように聞かれても気にしないと思いますが、あまり度重なるようだと、担当者とお施主様の間がおかしくなってくる可能性もあります。担当者も人間ですから「信用されてないのかな・・・」と感じてしまってもおかしくありません。これは避けるべき事態です。家づくりの根幹にかかわる問題になります。
しかし、最初から会社と担当者を信じ切ってしまえば幸せです。誰にどんなアドバイスをしてもらっても、気持ちが揺らぐことはありません。「私は〇〇さんがすすめてるから、これでいいんだ!」こうなると無敵です。このような方の家づくりは、幸せにつつまれています。
末の長いお付き合いになるから
注文住宅を建てるとなると、あたりまえのことですが、建てるときだけのお付き合いではありません。本来、建ててからが本当のお付き合いの始まりです。不具合をみてもらったり、時には保証を実行してもらわないといけないこともあります。将来のメンテナンスやリフォームも、新築してもらって気心の知れている会社に頼むのが理想的です。
ちょっとしたことを尋ねたりすることもありますし、簡単な調整などを頼むこともあります。言わば、住宅会社とは家の主治医のようなものです。主治医を選ぼうと思うと、やはり好きになれる会社・担当者が望ましいと思います。
以上のことから、私は相性で選ぶのが一番間違いないと考えています。でも、当然ながらそれだけでは安心できません。やはり、相性だけではなく、しっかりとしたいい住宅会社を選びたいものです。大丈夫です。いい家を建てる住宅会社の条件もちゃんと説明いたします(微笑)。ズバリ、三つです。
①住宅の性能を数値や基準で示すことができる
リターンのために大切なのは性能です。住宅には住み心地にかかわる重要な性能があります。「地震に強い!」「高気密・高断熱!」「健康住宅!」・・・色々なうたい文句があるかと思いますが、ポイントはそれを基準や数値で示すことができるかどうかです。こう書くのは、残念ながら意外に言えない会社も多いのです。
地震に強い!と言っても、自社仕様の耐震等級が何級か言えるかどうか、高気密・高断熱!と言っても、自社仕様のQ値(気密性能を示す数値)が言えるかどうか、健康住宅!と言っても、自社仕様の住宅からどれだけのホルムアルデヒドが出ているか言えるかどうか・・・。それが言える会社は本当にそれができると思います。逆に言うと、言えない会社はできない、できていない可能性があります。
②現場がきれい
現場には住宅会社の姿勢が表れます。お施主様のためにいい工事をしようという想いのある会社は必ず現場をきれいにします。ゴミが多い、片付いていない、掃除がしっかりとされていない、こんな現場ではミスやロスが増え、キズもつけやすくなります。
腕のいい職人さんほど、現場をきれいにします。現場がきれいであることは、いい工事をする会社の条件です。中に入らなくても、前からのぞくだけでもなんとなく雰囲気がわかります。
③ハウスオーナー様の家を案内することができる
完成内覧会などは、多くの住宅会社で開催されていますが、すでに引き渡しがされていて、現在お住まい中のお客様の家を案内できる会社は限られてきます。これができるということは、お客様が満足されていて引き渡し後も関係が良好な証です。
つまるところ、引き渡し後に満足されているお客様と、どれだけたくさんのパイプを持っているかというのが、住宅会社の総合力です。どんなに言い訳をしても、お住まい中のお客様の家を案内することができない会社は、やはり、満足されていない、評価されていない、ということができると思います。
顧客心理として、自分が良いと思っている会社の営業の助けになりたいと思う気持ちがあると思います。少なくとも私どもは、そのようなお付き合いをさせていただいております。「気のきいたことは言えませんが・・・」「お役に立てるのなら・・・」と言って承諾してくださいます。ありがたいことで、そのようなお客様のほうには足を向けて寝ることができません。そのような関係を持っていない会社はダメだと思います。
最後に、避けるべき住宅会社の簡単な見分け方をお話しします。これは判断しやすいので、よく覚えておいていただきたいと思います。
契約を急がせる会社はダメ
どんな理由をつけても、契約を急がせる会社はダメです。「今週中に決めてくれたら、キャンペーン中なので・・・」「今日、契約してもらえたら、○○万円の値引き」などです。一生に一度の家づくりを何と心得ているのか疑問です。そこには、喜んでいただきたいなどという気持ちは感じられず、自分と会社の売上だけを気にしていることが透けて見えます。
私には「そんなに自信がないのかな」とも感じられます。これは他社のことを検討する時間を与えない戦略だからです。本当に自社の家づくりに自信があれば、じっくり検討してから決めていただいたほうが満足度は高まると思います。
入金を急がせる会社は要注意
一般的な入金スケジュールと比較して、入金のタイミングが早すぎる会社は避けた方が無難です。経営危機の可能性が非常に高いからです。住宅会社は「不自然に入金スケジュールが早いことがお施主様に歓迎されないこと」はよくわかっています。それをあえて要求するのは、経営が危険水域に入っていると考えるのが自然だと思います。
具体例としては、2009年1月29日に自己破産した静岡県の富士ハウスです。富士ハウスは有名なパワービルダーでしたが、着工前に70%の入金をすると請負代金の割引をするという営業を行っていました。普通に考えると、資金繰りに余裕があれば、普通のスケジュールで満額もらうほうがいいはずです。それだけで、いかに苦しかったかわかろうかというものです。
富士ハウスが経営破綻した時点で、着工済み未完成物件728棟、契約済み未着工物件806棟、一般顧客の被害総額は10億4000万円。多くの方が、住宅ローンが発生しているのに着工もされていない事態となり、「経営不安を知りつつ、富士ハウスの顧客に住宅ローンをつけた」と静岡銀行が提訴される事態にまで発展しました。
程度はともかく、経営危機にある会社は、入金を一般的なスケジュールよりも早く欲しがるものです。では、一般的な入金スケジュールとはどのようなものか。富士ハウスの経営破綻を受けて、(財)住宅リフォーム・紛争処理支援センターが発表した提言では、契約10%、着工30%、上棟30%、引渡し30%です。私の印象では、これでも少し早いぐらいに感じます。
ちなみに、倒産リスクに対処するには完成保証がつけられる会社を選ぶことです。建築工事中に住宅会社が倒産した場合、現在、完成を保証する法律はありません。つまり、お客様の自己責任ということです。しかし、完成保証という保険があります。これは建築工事中に間違って住宅会社が倒産しても、保険金で完成が約束されるというものです。
ところが、この完成保証の保険はハードルが高く、普通の住宅会社では入ることができません。保険会社が決算内容を審査して、住宅会社をふるいにかけるのです。ですから、検討中の住宅会社に「完成保証をつけることができますか?」と確認して、完成保証をつけることができるようであれば、それだけで安心してもいいかと思います
実際にその保険に加入するにあたっては費用がかかりますので、本当につぶれそうにない会社なら、無駄なコストになってしまうからです。
社員が自社で新築やリフォームをしない会社もダメ
この業界では意外なことに、自分が勤めている会社で家を建てない傾向があります。リフォームもしかりです。「自分の家はよそに頼む」という業界関係者はたくさんいます。自社では不安らしいのです(苦笑)。自動車メーカーや家電メーカーでは考えられないことだと思いますが、住宅産業とはそんな側面があります。
ちなみに、さすがに社長さんは自社で建築されますが、それでも自社の標準仕様と全く異なる建物をお建てになります。これは、みなさんそうなります。私は自分の家を建て替える時には、現在の大吉建設の標準仕様で建てます。自分が住みたい家を建てているからです。それが工務店の本筋だと思っています。
少し話がとびましたが、だから、社員さんが自社で新築ないしリフォームをされているところは、かなり安心してよいかと思います。工事の品質と値段のバランスが取れていて、会社の姿勢や体制も他社と比較してよいと判断している証拠だからです。さりげない会話の中で、担当営業マンの個人的な住宅事情を、将来どうしたいかなどを聞いているうちに、会社に対する本音がでてきます。
「将来、自社で建てたい!」社員さんが、そう言い切ることのできない会社は、お施主様にとってもあまりいい会社ではないと思います。会社を選ぶためのヒントは、こんなところに隠れているのです。
上記は、大吉建設が無用配布しています「幸せな家づくりのために読む本」より抜粋しました。 「幸せな家づくりのために読む本」送付ご希望の方は、お問い合わせ・資料請求よりお申込みいただけます。 |