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雨漏りしやすい屋根のかたちの時間
谷の多い屋根
屋根の中で谷と言われる部分は四角形の家の屋根にはありません。家の形に凹凸があって入隅の部分にできます。屋根面と屋根面のつなぎめのような部分で、雨水が2方向から流れてくる、たくさんの水量をうける場所です。おまけにここは瓦がなく、水切りの板金しかありませんで、この水切り板金が酸性雨などで穴があいたりします。屋根で真っ先に傷む部分です。
建物の形が複雑になればなるほど、この谷の部分が増えますので、雨漏りリスクは高くなります。基本的に建物は最初に四角形の枠を決めて、その中で間取りを割り振って考えるようにしていくと、強くてメンテナンス性のいい家になります。
ドーマー(ハト小屋)
ドーマーとは、主にロフトなどの屋根裏部屋への採光を目的として屋根上に設けた窓及び屋根を指しますが、職人さんはよく「ハト小屋」と表現します。これも屋根形状が複雑になり、水切り板金に雨仕舞をまかせる仕様になりますので、やはり早く傷みます。
天窓
天窓も採光目的でよく使われますが、これもドーマーと同じで早く傷みます。特に天窓は断熱性にも課題があり、結露の問題も少なくないので、扱いは要注意です。
屋根材に合わない勾配の緩い屋根
屋根材には雨水の逆流をふせぐために、必要な勾配が決められています。例えば瓦であれば4寸勾配とかカラーベストであれば2寸5分勾配などです。ちなみに4寸勾配とは1mの間隔で40cm高くなる勾配を言います。
ところが時折、この勾配が守られていない屋根もあります。この場合、強い吹き降りなどの時、逆流で雨漏りする可能性があります。
片流れや段違い
片流れや段違いの屋根も高いほうの軒が上を向いているので、これも吹き降りの時は苦しい形だと思います。普通は軒天井や軒と壁のとりあいは雨があたることを想定していませんが、この形ではそこに雨があたりやすいからです。
もう少し詳しく話してみました。