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鬼門の時間
家相には、鬼門(北東)と裏鬼門(南西)という考え方があります。これらの方位は、気の流れが激しいため、水回りを配置したり、玄関にしたりすると良くないとされています。この鬼門と裏鬼門に注意が必要だという考え方は風水にはありません。もともとは鬼門も風水から起った考え方なのですが、中国の風水では一概に凶とみなしません。
それに対して日本の家相では、鬼門や裏鬼門を忌み嫌い、そこに水廻りを配置すると不幸ごとがおこるというマイナスを論じます。
「鬼門や裏鬼門に三備を設けず」
鬼門とは鬼が出入りする方角であるとし、この方角に三備、つまり玄関や門、またはキッチン、そしてトイレや浴室を配置すると不幸ごとがあるとされます。また、三備ではありませんが、建物の張り出しや欠けなどの凹凸もよくないとされています。ちなみにここで言う鬼とは、あの鬼そのものではなく邪気のことを差します。簡単に言うと悪い気のことです。
家相とは日本の気候や風土に合わせた住みやすい家づくりのコツを集めた生活の知恵のことだと言うことができます。鬼門にも意味があるのです。
例えば北東のあまり日が当たらないジメジメしやすい場所に水回りを配置するとカビ臭くなることを恐れて、避けるように言っているのです。また、南西は逆に日差しが強く、特に夏は暑くなり南西に台所があると食べ物が腐りやすくなります。また、昔のトイレは水洗ではなく、南西にあると陽が長く当たり、伝染病の発生や臭いなどの問題などもあったわけです。北東も南西も方位としては水廻りにとってあまり良い条件とは言えないので、避けるように言い伝えられたようです。このように、本来、家相の考え方は、常識的で、ごく自然に受け入れられやすい生活の知恵が基本となっています。もっとも玄関や門の位置については、私にはお祓いの域を出ないように思われます。
ちなみに鬼門の家相が悪いと、不動産や財産に関する問題がおこる、親族間の人間関係が荒れる、幼児の病気や子宝に恵まれないなど子供に難が及ぶとされています。裏鬼門の家相が悪いと、忙しくなりすぎて疲弊したり、努力が報われなかったり、夫婦間のトラブルがあったり、妻に難が及ぶとのことです。
さて、家相の考え方はこのように常識的な生活の知恵だと申しましたが、昔と今とでは住宅事情が全く違います。トイレも水洗となり、なんら衛生的に心配がなくなりました。また冷蔵庫という便利なものができたことに加えて、特に近年は高断熱化が進んだおかげで、南西が暑くてどうこうということも考えなくてよくなっています。その意味では、日本の家相の考え方はすでに一定の役割を終えたのかもしれません。
もっと詳しく話してみました。