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奈良の木の魅力の時間

 吉野杉、吉野桧に代表される奈良県産の木は県外ではけっこうブランドです。東京の材木屋さんに聞くと、吉野杉吉野桧というと、やはり高級なイメージがあり重宝されるそうです。奈良ではそれほどでもありません。

 その最大の理由は木目のこまかさからくる美しさです。年輪の幅がせまく、それが木目の美しさになっているのです。それは吉野林業独自の育成方法によるものです。他の地域では1haに3000本程度の木を植えるのですが、吉野林業では1haあたり1万本の木を植えます。木を植える数が少なければ日当たりがよくて大きく育ちますが、曲がって成長してしまう弊害もあるそうです。

 密集して植えることで、早く大きくなることをふせいで年輪がこまかくなるとともに、真っ直ぐに上に上にと育ちます。そこで生き枝を切り落とす「枝打ち」という手のかかる作業をすると、節が少なく年輪がきれいで、長くて真っ直ぐな木ができるそうです。年輪がきれいというのは、年輪幅が緻密で均一であるということです。そして年輪がこまかいときれいなだけではなくて、他にもメリットがたくさんあるのです。

①年輪がこまかいほど強い  

 年輪の幅が緻密で均一ということは強度が高いということです。木材の変形しにくさを現す指標でヤング係数というのがあります。これは数字が高いほど変形しにくく、強度が高いことを意味します。杉のヤング係数は全国平均のE70に対して奈良県産の杉の平均はE90となり、全国平均の約1.3倍にもおよびます。この表はヤング係数の高い木の出現率が奈良県産材のほうが全国平均よりもかなり高いことを示しています。

②シロアリにも強い  

 年輪幅が広いということは早材部(年輪の春から夏にかけて成長した部分)と言って木の柔らかいところが多いということです。だから年輪がつまっているということは先ほどのヤング係数が高くなることにつながるのですが、これによってシロアリにも強いんです。シロアリは柔らかい材を好むので、年輪の幅がせまくてかたい木はシロアリの被害も受けにくいわけです。奈良の木はシロアリにも強いんです。

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